今日は両国国技館で行われた横綱審議委員会の稽古総見に行ってきました。
本場所さながらの7000人を超えるファンが集まり、私が国技館に入った時にはすでに2階席中段まで埋め尽くされている状態。館内の熱気からも相撲人気の盛り上がりを感じました。
今回は十両の稽古から見たのですが、若手の輝、阿武咲、石浦らが精力的に稽古をこなしていました。中でも石浦は173センチ、107キロという十両力士の中でも一際小柄な体格。その体から繰り出される、相手の懐に潜っての投げ、ひねり技、俊敏な左右の動きと、小兵力士の持ち味を十分に発揮し、館内を大いに沸かせていました。
現在は200キロ近い力士も多い中、石浦のような力士が幕内に上がったら間違いなく人気が出ると思います。最近では、石浦や今場所序の口デビューする宇良など、体は小さくても大きな力士に対抗できる力士が増えてきました。こういう力士の相撲こそ大相撲の醍醐味ですから、彼らの中からかつての舞の海さんのように幕内上位でも活躍できる力士が誕生してほしいですね。
幕内の稽古では先場所大活躍した照ノ富士と逸ノ城に対し、大きな声援が送られていました。照ノ富士は大関の稀勢の里、琴奨菊の大関同士の稽古にも参加。稀勢の里に対し、厳しいおっつけで土俵下まで吹っ飛ばす相撲もあり、好調ぶりをアピールしていました。稽古内容を見ても他の幕内力士で特に目立った力士はいなかったので、現時点ではやはり照ノ富士、逸ノ城が頭一つ抜けている状態だと思います。
ぶつかり稽古では白鵬が逸ノ城に胸を出し、10分間みっちりかわいがっていました。逸ノ城は白鵬との三番稽古後、すぐのぶつかり稽古でしたので、相当堪えたのか土俵の上で文字通り『大の字』。その姿に館内からは笑いも起こっていました。
見る側にとっては力士がフラフラになっている姿は面白く映るかもしれませんが、力士にとっては、ぶつかり稽古中は意識も朦朧とするほど相当苦しいのです。私も現役中は「こんなきついことをしているのに何故笑いが起こるのか」とやる側と見る側のギャップに違和感を感じていました。しかし、稽古を見ているほとんどの人は「ぶつかり稽古」の経験なんてありませんから、その苦しさは分からなくて当然なんですよね。
それにしても、ぶつかり稽古中、幕内力士が土俵の上で思い切り大の字になるなんて、以前は見なかった光景です。時代も変わったということでしょう。
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