大相撲初場所は大関琴奨菊が14勝1敗で初優勝し、日本出身力士としては栃東以来10年ぶりの幕内優勝となりました。10年前は私も現役でしたので、その時の栃東の優勝はよく覚えています。あれからはや10年、時の流れの速さに驚かさせます。
10年の間、大相撲は日本人力士が優勝するチャンスが全くなかったわけではなく、稀勢の里、豊ノ島、栃煌山などが「もう一息で優勝できる」という場所も過去にはありました。しかし、いずれも「あと一歩」で敗れ、皆悔し涙を飲んできたわけです。
今場所の琴奨菊はやはり十日目まで全勝を守ったということが何より大きかったと思います。稀勢の里を筆頭に嘉風、宝富士、勢など「骨のある力士」に対して星を落とすことなく、後半の横綱大関戦に入ったことにより、一気に優勝の可能性が高まりました。十日目の鶴竜戦で勝利した相撲を見て、私は琴奨菊の優勝をほぼ確信しました。
そして、今場所は琴奨菊に対して、「立ち合いで横へ変化をする力士がいなかった」ということも琴奨菊が勝率を上げた要因だと思います。
琴奨菊は立ち合いで強く当たり、一気の出足で相手を圧倒する相撲スタイル。相手が正面からまともに来れば自分の力を発揮できます。その反面、立ち合いの変化など「相手の横への動き」に対応できない場面もこれまでは多かったのですが、今場所は、琴奨菊相手にそのウィークポイントを攻める力士はいませんでした。
元々、相撲界でも屈指の馬力の持ち主。「立ち合いで相手に変化されなければ、琴奨菊は強い」ということをあらためて証明したともいえます。
来場所は綱取りの場所となりますが、今場所同様、十日目までの相撲が非常に重要になります。十日目を終えた時点で、全勝、もしくは1敗までなら横綱昇進の可能性も出てくるのではないでしょうか。
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