昨日、力士時代の私の師匠である鳴戸親方がお亡くなりになりました。
親方はまだ59歳ですし、部屋の関係者から訃報の連絡を受けた時は本当に信じられませんでした。一日過ぎた今でもまだその実感がなく、気持ちの整理がついていない状態です。
鳴戸親方は相撲道に対して決して妥協を許さない、非常に厳しい親方でした。そしてその厳しさの裏側には弟子を強くしたいという熱意、相撲だけではなく、人間的にも成長させたいという愛情があったのだと私は信じています。その厳しい指導があったからこそ、並みの素質しかなかった私が、幕内、三役という地位を経験することができたのだと思っています。
弟子を前に直接本人に対して褒めるような方ではありませんでしたが、それでも私の断髪式で、最後髷を切り落とした時に、「今までよく頑張ったな」と後ろで一言声をかけて頂いたことは、私にとって親方との一番の思い出となっています。
弟子の前では決して弱音を吐くことはなかったし、体調が悪くとも、それを人に見せる方ではなかったので、親方の病状がここまで悪くなっていたなんて、思いもしませんでした。そういう病状の中でも、心を鬼にして弟子を厳しく指導されていたかと思うと言葉になりません。
親方、もうゆっくりと休まれて下さい。指導して頂いて本当に有難うございました。
鳴戸親方のご冥福を心よりお祈り致します。
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